市民の皆様へ
今年は例年になく寒い日がいつまでも続き、ようやく桜が開花する気候になりましたが、東日本大震災の被災地では、まだまだ復旧、復興にいたらず大変ご苦労をされておられることと存じます。名実ともに一刻でも早い開花が訪れることを、心よりお祈り致しております。
さて、前回のご挨拶でも触れましたが、病気・病態とそれに応じた医療内容を急性期、回復期、慢性期の3つに分け、それぞれの段階で適切な医療を行うことが推進されています。そのためには、それらを担う病院や診療所とのシームレスな連携が重要であり、今回の診療報酬改定でもそのことが反映されています。その中で、一般急性期を担う病院についても、限られた資源(医師、看護師、コメディカル、大型の診療機器や医療材料など)を有効に活用する目的で、さらに3つに区分されることになりました。すなわち、特定機能病院である大学病院本院の病院群(全国80病院)、それに準じた急性期高密度医療を担う病院群(全国90病院)、それ以外の一般急性期医療を担う病院群(全国で1335病院)です。お蔭様で、当院での診療内容が高く評価され、急性期高密度医療を担う病院に指定されました。今後も、地域において最善の、そして最新の高度専門医療の提供に努めたいと思っております。
一方、日本の社会は、ますます少子高齢化が進みつつあり、それに伴って家族構成が大きく変わりつつあります。平成22年度の国勢調査の結果では、一番多い世帯が独り暮らしで全体の31%であり、次に夫婦と子供の世帯が29%、夫婦のみの場合が20%と、核家族化が進んでいます。そしてさらに大きな問題なのが、65歳以上の独居世帯、あるいは65歳以上の夫婦二人の世帯が急速に増加していることです。すなわち、このような方が病気になられた場合は、治療後の行き場に困ることが懸念され、患者さんやご家族が大変な苦労をしておられます。また、2025年には、団塊の世代がいよいよ75歳の後期高齢者の年齢に達することになり、大きな社会問題となってきます。従って、先ほど述べた医療の機能分担と相互の連携を推進しておくことがますます重要となります。当院としては、急性期から回復期、維持期への次のステップへのスムーズな移行を目指して、入院・治療を開始した時点からの退院支援を進めて行きたいと思っています。この退院支援には、主治医、病棟での担当看護師のみならず、退院調整看護師、MSW(医療ソーシャルワーカー)、リハビリ担当の理学療法士、介護支援専門員(ケースワーカー)、連携担当事務職など多くの人が関わっていますが、患者さんや家族にとってより良い療養が出来るシステムの構築が喫緊の課題です。市民の皆様方のご理解とご支援をお願い致します。
いずれにしても、当院としては可能な限り市民の皆様への情報発信と交流を進めたいと考え、いくつかのイベントや試みを行っております。その一つが、昨年7月にスタートした「患者図書室―やすらぎの森」で、当院の玄関ホールの上の2階にあります。患者さんのみならず、どなたでも利用可能ですのでご活用下さい。また、がんの医療についての市民公開講座も定期的に行っており、さらに、患者さんやご家族の心を少しでも癒していただきたいと思い、昨年は、七夕コンサート、お月見コンサート、そしてクリスマスコンサートを院内の北館ホールで開催しました。お蔭様で、毎回、200人を超える皆さんのご参加をいただいております。今年も、同様なイベントを企画しておりますので、お気楽にご参加いただければ幸いです。詳細につきましては、随時、当院のホームページに掲載しますのでご覧ください。
以上、「より一歩前へ」をスローガンに、最適な医療の実践に向けてさらなる努力を重ねてまいります。市民の皆様のより一層のご理解とご支援をお願い致します。
平成24年4月
公立昭和病院
院長 上西紀夫(かみにし みちお)