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口腔ケアセンター

口腔ケアセンターでは、公立昭和病院を受診された外来、入院患者さんに対して、口腔ケア(口腔内の歯や粘膜、舌などの汚れを取り除く器質的口腔ケアと、口腔機能の維持・回復を目的とした機能的口腔ケア)の徹底を図ることで、口腔疾患の改善及び肺炎等の呼吸器感染症を予防し、在院中や通院中の医療を円滑に行うとともに医師、看護師、ST、PT、OT、栄養士、薬剤師等のスタッフの協力を得て患者のQOLの向上に貢献します。

対象となる方は

  • 1.全身麻酔などが必要な手術前後(周術期)の方
  • 2.抗がん剤療法、放射線治療を受ける方
  • 3.入院されて介助が必要でADLが低下した方
  • 4.摂食・嚥下のリハビリテーションの必要な方
  • 5.人工呼吸器を装着された方
  • 6.糖尿病教育入院された方
 

1.周術期の口腔ケアとは

全身麻酔下での手術においては、肺までチューブが入り人工呼吸器により呼吸が管理されます。チューブ挿入に伴い口腔内の細菌を気道内に押し込んでしまうことにより、術後の誤嚥性肺炎・発熱を引き起こす可能性があります。また、術前後に絶食となる場合は、経口摂取時よりも口腔内細菌が増加するため、感染症を引き起こしやすくなります。そこで、口腔ケアセンターでは、全身麻酔下での手術を予定されておられる患者さんを対象に、術前、術後の口腔ケアを実施しております。具体的には、手術前日に歯科衛生士によるブラッシング指導や器械、器具を用いた歯面清掃を行っております。

 

2.抗がん剤治療や放射線治療を受けられる患者さんに対する口腔ケアとは

悪性腫瘍を発症された患者さんへの治療法として、抗がん剤治療や放射線治療が行われることがあります。これらの治療法の副作用として粘膜炎があります。特に、口腔粘膜炎は、強い疼痛のため経口摂取が困難となり、また口の中のたくさんの細菌の一部が粘膜炎の部位に入り込み、細菌が全身に広がって発熱することもあります。こうなると、全身の感染のために、がん治療を中断しなければなりません。米国の調査によると、抗がん剤治療を受けた患者40%に口腔内になんらかの副作用が出ています。このうちの50%は、口腔内にでた粘膜炎のため、抗がん剤の投与量を変更したり、抗がん剤を投与するスケジュールを変更したりしています。また、頭頚部がん(頭から首にかけての範囲にできるがん)患者で、口の周囲に放射線治療を受ける患者さんの100%に、口腔内の副作用が出現するといわれます。栄養状態の悪化に加え、口腔内も不潔になると炎症が重篤化し、治癒が遅れることもあります。当センターでは、治療が円滑に行えるように口腔内の疼痛のコントロールや口腔ケアを実施しております。

 

3.入院されて介助が必要な方や人工呼吸器を装着された方の口腔ケア

脳血管障害や意識障害、ICU・CCUなどで人工呼吸器管理が行われている等により、ご自身で歯ブラシができず、誤嚥性肺炎を発症するリスクが高い患者さんに対して口腔ケアを行っています。

4.摂食・嚥下のリハビリテーションの必要な方の口腔ケア

口腔・嚥下機能の低下された患者さんに誤嚥性肺炎は発症しやすいことが知られています。嚥下訓練が口腔機能の回復につながり、誤嚥性肺炎を予防すると言われています。

 

5.糖尿病教育入院患者様への口腔衛生指導

歯周病は多くの全身疾患に影響を与えることは昨今の研究で明らかになってきています。特に糖尿病においては、歯周病が血糖値に影響するとも言われています。そこで、当院での糖尿病教室において、教育の一環として、口腔衛生指導を行っております。

 
01
02
03

ICUでの口腔ケア

04

口腔ケア前

05

口腔ケア後

口腔ケアセンタースタッフ

歯科衛生士 5名
歯科医師 2名